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2008年小説ベスト5 [読書]


 このブログに訪れてくださった皆様、クリスマスはどうでしたか?
 bfieldは「ミッケ・シリーズ」を娘にプレゼントし、ケーキを食べてすごしました。

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チャレンジミッケ! 3 コレクション

チャレンジミッケ! 3 コレクション

  • 作者: ウォルター・ウィック
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/09/15
  • メディア: 大型本


 bfieldはそれほど読書家ではありませんが、それでも今年は何冊か読みました。
 今夜は、そんな中から気に入ったものを紹介したいと思います。今年出版された本ではなくて、今年読んだ本ということにご注意を(笑

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◇ 5位「星を継ぐもの」ジェイムス・P・ホーガン

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1980/05
  • メディア: 文庫


 ジェイムズ・P・ホーガンという作家、SF界の巨匠といわれている作家の一人なんですが、bfieldはモグリのSFファンなので、知りませんでした(^_^;
 まずいっておきたいのは、このSFは1977年に上梓(書物を出版すること)されたということです。31年前ですね。この時代にこれだけのSFが書けたというのは驚きです。でも、現在知られている宇宙科学の制約が無かったからこそ、この小説が創作できたともいえるのではないでしょうか。

 この小説のテーマは人類の誕生と進化の謎を扱うものです。そのきっかけは月面で「5万年前の宇宙飛行士の遺体」が発見されたことから始まります。
 その遺体の分析が進むことによって分かってくる事実。科学者たちの無駄とも思える喧喧囂囂たる議論。別の場所から発見される新たな謎。

 「5万年前の宇宙飛行士の遺体」、この謎の一端でも述べてしまうと、この小説の面白さが半減してしまうのでこれ以上は書きません。
 残念なのは人類の進化にかかわる大きな謎を残したままこの小説が終わってしまうことです。でも、ご心配なく。この小説には続きがあります。たぶん、それを読めばすべての謎が解けることでしょう。

 この小説のカテゴリーは、いわゆるハードSFです。SF好きのあなたにお勧めの作品です。
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◇ 4位「さまよう刃」東野圭吾

さまよう刃 (角川文庫)

さまよう刃 (角川文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/05/24
  • メディア: 文庫


 売れっ子作家、東野圭吾氏の作品です。
 この小説は殺害された少女の父親がとった行動、つまり被害者からの視点がテーマとして書かれています。

 このようなテーマの作品を以前から読んでみたいと思っていたこともあり、とても共感できる作品でした。これだけだと最近放映されたドラマ「流星の絆」(東野圭吾原作)を連想してしまうと思いますが、この作品は社会的な暗部を描いていることもあり、ドラマ化することは難しいでしょう。
 それは、被害者の殺され方が残酷なこと、そして加害者の年齢など、社会的な問題を孕んでいます。だからこそ面白いといえるのですが。少なくとも「流星の絆」のようなコメディ・タッチではこの小説をドラマ化することはできないと思います。
 いずれにせよ、社会的に難しい問題を扱いつつ、物語の展開が面白く、非常に良くできた作品だと思いました。
 一方、「流星の絆」は涙あり、笑いありで、楽しく観賞させてもらいましたが、それはないだろうというような結末でした。ちょっと納得がいきませんが、犯人が「自分は悪人だ」といったことで、よしとします。

 サスペンスが好きなあなたにお勧めの逸品です。
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◇ 3位「イン・ザ・プール/空中ブランコ」奥田英朗

イン・ザ・プール (文春文庫)

イン・ザ・プール (文春文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2006/03/10
  • メディア: 文庫



空中ブランコ (文春文庫)

空中ブランコ (文春文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/01/10
  • メディア: 文庫


 この二つの作品は精神科医・伊良部シリーズで、『空中ブランコ』は2004年に第131回直木賞受賞を受賞しました。
 主人公である伊良部は人間として最低な非常識人です。その伊良部が結果的に患者の病気を治していくという短編集です。
 この話を通して、ブラックユーモアであれ、笑いは必要なものだなと、改めて感じました。

 思いっきり笑いたい貴方にお勧めの作品です。
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◇ 2位「13階段」高野和明・「グラスホッパー」伊坂幸太郎

13階段 (講談社文庫)

13階段 (講談社文庫)

  • 作者: 高野 和明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/08
  • メディア: 文庫


 「13階段」は第四十七回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。そのときの審査員だった宮部みゆき氏もあとがきで絶賛していました。
 bfieldも「13階段」を読んだときに、あまりにも素晴らしい小説だったので、blogでは感想も書きませんでした。
 この作品のすごいと感じたところは;
 ・下調べを入念に行っている
 ・情報量の多さにもかかわらず構成がうまく、とても分かりやすく仕上がっている
 何でこんなに構成がうまいのかと思ったら、この人、脚本家だったんですね。
 文章を書く実力(筆力)は折り紙つきだったわけです。そこにテーマの面白さが重なって、このような素晴らしい作品が出来上がったのでしょう。

 よくできたサスペンスを読みたい貴方にお勧めです。

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫


 これまで伊坂氏の作品は「オーデュポンの祈り」、「重力ピエロ」「死神の精度」と読んできましたが、最初の二作品は好感が持てるものの危なっかしさが否めませんでした。
「死神の精度」に関しては、完成度、面白さともに素晴らしい作品だと思いました。因みにこの作品は映画化もされています。

 「グラスホッパー」はハードボイルドにカテゴライズされる作品です。この作品を著者自身が「今まで書いた小説のなかで一番達成感があった」と語っていることもあり、実際に読み応えのある作品でした。
 伊坂幸太郎氏のファンになるかどうか迷っていたbfieldにとっては、この作品が決定打になりました。もう、迷いはありません。伊坂氏は進化している。素晴らしいの一言です。

 この作品の特徴的なのは、鈴木・鯨・蝉の3人が各々代わる代わる、多視点の一人称小説です。普通のミステリやサスペンスでは一人称的な三人称で話を進めるので、この作品は変則的といってもいいでしょう。
 そして章が変わるたびに(主人公が替わるたびに)時間の巻き戻しが起こることも特徴的です。つまり、ある主人公にイベントが生じてからべつの主人公に移り変わったとき(章が変わったとき)、改めてそのイベントがおきる、異なる視点からイベントを体験する。そんな手法がとられているところが面白いです。
 そしてもう一つ、伊坂氏の作品にはよく現れるようですが、主人公以外の魅力的な人物が登場します。「オーデュポンの祈り」ならば「桜」にあたる人物、この作品では槿(ムクゲと書いてアサガオと読む)です。彼は「押し屋」といわれている伝説の殺し屋の一人です。彼が実際に登場している場面は少ないですが、この作品の最初から最後まで物語の展開の重要な役割を担います。物語の後半での彼の登場は、感慨深いものがありました。

 この作品が直木賞をとれなかったなんて……

 ハードボイルドが好きな貴方にお勧めです。
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◇ 1位「NEXT(上・下)」マイケル・クライトン

NEXT 上 (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

NEXT 上 (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 作者: マイクル・クライトン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/09/07
  • メディア: 単行本



NEXT 下 (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

NEXT 下 (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ) (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 作者: マイクル・クライトン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/09/07
  • メディア: 単行本


 「NEXT」はバイオ・テクノロジーの発達段階における社会的な問題に真っ向から取り組んでいる作品です。前回の作品にも感想は書きましたが、この作品は故人の作品の中でも傑作ではないでしょうか。

 遺伝子の振る舞いを真似たかのような章立てや話の展開、ページを捲らずにはいられないような「ER」を思わせるスリル、事実挿話型のフィクション、故人でなければ書きこなせないのではないでしょうか。

 それに前書きが面白い!

 ― 本書はフィクションである。
 ― フィクションではない部分を除いて。

 この作品中でバイオ・テクノロジーに関する様々な社会的問題を挙げていました。それにも拘らず、クライトン氏は楽観的な未来を予想していたようです。
 じっさいにこれらの問題が、良い方向に向かうことをbfieldは願っています。

 クライトン氏のファンにお勧めです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
 少しでも皆さんの読書の参考にしていただけたら幸いです。

タグ:読書
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コメント 15

nyan

bfieldさん、メリークリスマス♪
グラスホッパー、読んでみたいなと思っていました^^
by nyan (2008-12-25 22:10) 

bfield

◇ nyanちゃん
  メリークリスマス!
  グラスホッパーはコミックにもなっているようです。
  素晴らしい作品なので機会があれば読んでみてください。

by bfield (2008-12-25 22:14) 

kimiko

Merry クリスマス~☆  セーフかな・・(^^;;

お嬢ちゃま、お熱はさがりましたか?
ケーキが食べられたなら大丈夫かな。。
おだいじにしてくださいね。

本を読むのも体力が要りますよね~ww
1ページで・・・墜ちてしまって(>_<;
by kimiko (2008-12-25 23:26) 

bfield

◇ kimikoさん
  Merry Chrismas!
  おかげさまで娘の熱は下がり、元気に飛び跳ねています。
  でも、念のためにケーキのロウソクは団扇で消してもらいました(^_^;
  たしかに、読書にはパワーが必要ですね。
  数をこなせばいいというものでもないと思います。
  kimikoさんが、いつか素敵な本に出合えますように!

by bfield (2008-12-26 05:13) 

kimiko

おはようございます♪

早起きですねっ!(笑)
ゆうべギリギリだったんでどうなることやらとハラハラww
さっそくのコメントうれしかったです~♪^^
by kimiko (2008-12-26 05:17) 

おーつか

うちにもミッケシリーズが何冊かあります!
面白いですよね。娘と競争して探したりしてます。
今年も歴史ものばかり読みました(^^ゞ
来年は色々なジャンルに挑戦しようかな(^-^)
先日は失礼しました。未読の表示が小さい
ですよね!?なーんて、私の注意不足です(;^_^A
by おーつか (2008-12-26 10:35) 

春分

ミッケはきいたような気がしましたが、きっと知らなかったようです。
びっけさんとかと混同があったかな。
読んでる本は重ならないですね。ホーガンはこれ以外はだいぶ読みましたが。
今月読んだ本は「百年の孤独」と「荒野へ」でした。暗くなるばかり。
両方ともとても良いと思いましたが、気持ちが弱っている時には向きませんね。
by 春分 (2008-12-26 12:27) 

jewel

バイオ・テクノロジー!
まさに bfield さんのフィールド!
面白かったことでしょうね^^
by jewel (2008-12-27 11:43) 

bfield

◇ kimikoさん
  歳の性か早起きになったような気が…(^_^;

by bfield (2009-01-01 17:35) 

bfield

◇ おーつかさん
  ミッケシリーズは面白いですよね。
  大人気ないと思いながらも、競争になりますよね(^_^;
  歴史ものにも注目しているものがあるのですが、
  なかなか手が出ません。
  たとえば「のぼうの城」は面白そう。
  今度はもっと分かりやすく連絡させていただきますね。

by bfield (2009-01-01 17:38) 

bfield

◇ 春分さん
  ミッケは結構美しい本なので、機会があればご覧になると
  写真の参考になるかもしれません。
  ホーガンの作品は「星を継ぐもの」の続きを
  読んでみたいと思ってます。
  今年読めるかな~

by bfield (2009-01-01 17:42) 

bfield

◇ xml_xslさん、いつもnice! ありがとう!

by bfield (2009-01-01 17:42) 

bfield

◇ えりあるさん、nice! ありがとう!

by bfield (2009-01-01 17:43) 

bfield

◇ Qooさん、はじめまして。nice! ありがとう!

by bfield (2009-01-01 17:43) 

bfield

◇ jewelさん
  bfieldワールド!
  2009年もそんな世界が展開できたらいいな。
  jewelワールドも楽しみにしてますよ!

by bfield (2009-01-01 17:45) 

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